亜久津 仁

Song Report



亜久津ファンのお方様、ならびに望ファンのお方様…
楽曲と共にエンドトラックも是非、心静かに堪能されることをお奨め致します。

改めまして、亜久津の曲聴きました!
アニメもご覧になられていて同じ印象を抱かれた方も少なくないと思うのですが、
越前との試合BGMと同じ空気感。
スピードありの、微妙な軽さと重さありの、デジタルロック。
ディスクが回り始めると、空虚なものを埋め尽くすかのような音の洪水に呑まれます…
ザワザワと、深く浅く。
消失しつつある、前奏と歌い出しの境界。
はっきりとした肉声を素直に聴かせてくれる訳ではなく
水のカーテン通した向こう側を見るようなニクさで、
また闇の中気紛れな閃光に照らされ、光と影がめまぐるしくカタチを変容させていくかのような。
歌であり無機質な語りでもあるように、言葉は連ねられていく。
そんなAパート、彼を音付きで受け入れている人にはたまらないんじゃないでしょうか。
亜久津出動!って曲調…うまく言えない(うまくどころか…)
そしてBパート。
タイトルの「GET FREE」の意味、濃縮還元した箇所だと感じます。
ハスキーさと潤いを兼ねた絶妙な声が、段々と裸になってゆく。
  −−解き放て。−−
全体的に感覚的な詞を綴っている(と思う)のですが、
他者へか、自分へ向けてなのか、はっきりとした意思を外へ向けているのは多くないため
ここは印象が強い。
グッと抑えたトーンの所為もあるでしょう、カッコいい部分です。
やがてサビへ。
諸所に誘発的な小さな爆音が仕掛けられ(デジタルロックですから。)つつ
アクツスタイルで歌い上げ、タイトルコールで締める。
歌い方も、曲調も、リズムも音質も速さも温度も全部……亜久津仁、100パーセント!!
本格的にライブとかやったらもっと上にいけると思うのに、
どんな熱望にも口説き文句にも二度と落ちないであろうそれも彼。
これきりの渾身の一曲! カッコ良かった。

活字から知るよりも、感情のまま彼が何て言おうとしてるのか
全部聞き取りたいですが、ちょっと難しいのでこのあと歌詞読みます。
CD感想として順番違う気がしますが
それを置いても、音の洪水として感じた魅力を、意味ある正確な言葉の先入観無しに
残しておきたかったのでした。
だから縁の下の力持ち的なバッキングヴォーカルと、メインヴォーカルの境目も
意識しなかったのかもしれません。

と、ここまで亜久津にこだわり書いてきましたが、単純にこの曲が好き。(身も蓋もない)
クールなようで、ときに甘口になる歌声も…。



冒頭でたまらず口走ったのですが、
亜久津に『声の命』を与えた、佐々木望氏のコメント。
一聴ではうっかり感情が読めなかったくらい、淡々とした簡潔な短い、短い言葉。
(今までの声優さんトークの雰囲気とは全く違いました)
間。
「おい小僧、起きろ。今何時だと思ってやがる」
ナヌ!? 望っち(スイマセン)予告なしに目覚ましボイスを仕掛けた!(笑)
更に間。
「聞こえねーのか、小僧!!」
 そのあと、寝ている小僧を起こそうと、間を置いて二言三言、声をかける。

それでも起きない小僧に。

「俺はもう行くぜ。
 …じゃぁな」
(直後CDが終わる)



途中まで、ひたすら声掛けのみで寝た子を(科白はともかく)優しく
起こそうとする姿勢に微笑ましく聴いてたんですが、
飽きて行っちゃったよ……
こんなにココロにぽっかり穴開けて去ってったエンドトラック、彼が初めてです。
改めて、存在の強烈さを感じた。
また現れるとも、もう二度と現れないとも取れて。
『サビシけりゃ、俺はもう置いてきた歌でも気が済むまで聴いてろ』...?

最後まで亜久津だった、望さんは。
…ありがとう






Song Report


亜久津 仁



BACK